鼻整形には自家組織、つまり自分の身体の一部を鼻に移植することで鼻を高くすることができる施術があります。
自家組織って身体のどこから持ってくるの?安全なの?など自家組織の鼻整形の様々な疑問を解決していきます。
鼻整形で軟骨などを用いる「自家組織」の施術とは
自家組織とよく言い間違えられるのが、自己組織ですが正しくは「自家組織(じかそしき)」です。
自家組織は自分の身体の一部を使うので、感染症などの合併症のリスクが少なく、安全な施術とされています。
鼻整形で自家組織が使われる主な施術として、「鼻中隔延長術(びちゅうかくえんちょうじゅつ)」や「鼻尖形成術(びせんけいせいじゅつ)」などの鼻先を高くする施術があります。
- 団子鼻や豚鼻を治したい方
- 上向きの鼻を下に向けたい方
- 鼻先を高くしたい方
以上のような方に、向いています。
では、実際に身体のどこの部位を鼻に移植するのか詳しく見ていきましょう。
どこの自家組織を鼻に移植するの?
鼻整形で自家組織として用いられる部分は、大きく分けて3つあります。
- 軟骨
- 真皮(肌組織の大部分を占めている部分)
- 筋膜(筋肉を包む膜)
中でも軟骨が移植後の吸収率や触り心地、弾力性、細かなデザインが効くといった点からよく用いられます。
鼻先だけでなく鼻筋に挿入することも可能で、鼻のデザインによって挿入する軟骨の種類や量も変わります。
軟骨の種類
自家組織でよく使われる軟骨ですが、移植することができる軟骨は大きく分けて2種類あります。
- 保存軟骨
- 自家組織の軟骨
保存軟骨とは他人の軟骨を指します。
過去に軟骨採取の施術を受けるなどして自家軟骨の採取が難しい方、施術時間を短くしたい方に選ばれています。
クリニックによっては保存軟骨から、その方の鼻の長さや形をオーダーメイドで制作してくれるので、こだわったデザインや理想の鼻にできるだけ近づけたい方は保存軟骨が向いています。
しかし、他人の軟骨なので、アレルギーが出てしまう可能性がゼロではありません。
それに比べて、自家組織による移植はアレルギーの心配がほとんどなく、ナチュラルに鼻を高くしたい方に向いています。
しかし、自家組織の軟骨でも、採取する場所によって術後の変化を大きくすることはできるので、より安全な鼻整形をしたい方は自家組織による施術を選択してみてはいかがでしょうか。
自家組織として利用される軟骨は、主に以下の3種類があります。
- 耳介軟骨
- 肋軟骨
- 鼻中隔軟骨
では、それぞれの自家組織の施術について詳しくみていきましょう。
耳介軟骨(じかいなんこつ)
移植する軟骨の中で最もポピュラーな種類です。
耳介軟骨は自家組織でも高さをしっかり出したい方に向いています。
耳介軟骨とは耳の後ろにある軟骨を指し、採取や加工がしやすく、施術後の触り心地も自然なため多くのクリニックで採用されています。
切開する部分はクリニックによって多少変わりますが、施術後でも目立ちにくいような箇所を切開します。
術後に耳の変形の心配もありません。
耳介軟骨移植の方法
一般的に両耳の後ろの付け根の部分を2~3センチ切開して、必要な軟骨を切り取り、縫合します。
その後に、鼻の穴の中を切開して先程採取した軟骨を2枚重ねて挿入します。
鼻先をシャープに高くしたい場合は鼻の前方に、鼻先を長くしたい場合は斜め下に挿入します。
鼻の穴目立ちにくくしたい場合は、鼻の穴と穴の間に挿入するなど、どのような鼻にしたいかで、挿入する箇所が変わります。
耳介軟骨移植のダウンタイム
耳介軟骨は耳と鼻の2つの箇所を切開しているので、それぞれにダウンタイムがあります。
耳は大きく腫れる箇所ではありませんが、固定が必要なため肌色のテープやガーゼを貼り、後日鼻と一緒に抜糸を行います。
鼻は3日~5日のギプス固定をした後に、ギプスを外す除去と抜糸を行います。
ダウンタイムは3日~7日ですが、切開は鼻の中なので大きな切り傷や、内出血が目立つことはありませんので安心してください。
肋軟骨(ろくなんこつ)
肋軟骨は耳介軟骨を移植できない方が次に選ぶ施術で、耳介軟骨と同じく、高さをしっかり出したい方に向いています。
肋軟骨とは、あばら骨と胸骨を結合する部分にある骨を指し、耳介軟骨に比べて強度があるので、術後も安心です。
しかし、肋軟骨には切開部分が目立ってしまうデメリットがあります。
肋軟骨移植の方法
バストの下あたりを3~4センチ切開するので、施術が大掛かりになったり、傷が完治するまで気になってしまう方も中にはいるでしょう。
しっかり強度を出すことができますが、傷跡のことまで考えて選択する必要があります。
鼻中隔軟骨(びちゅうかくなんこつ)
鼻中隔軟骨は、ナチュラルなデザインで切開を最小限に留めたい方に選ばれています。
鼻中隔軟骨は鼻の中心にあり、喉まで鼻を左右に分けている壁を指し、鼻の形を決める大切な役割を果たしています。
この施術の特長は、切開する部分が鼻だけで済むという点です。
しかし、この鼻中隔軟骨は他の軟骨と比べて、限られた量しか採取できないので大きな変化を求めている方には向いていません。
鼻中隔軟骨は、鼻整形の先進国であるアメリカではポピュラーな施術ですが、日本で受けることのできるクリニックは少ないです。
これは日本人の鼻中隔軟骨が外国の方と比べて小さいという点が、日本でなかなか普及しない主な理由の一つです。
自家組織の鼻整形を受けるなら、まず最初に耳介軟骨を検討してみるのが良いでしょう。
自家組織の鼻整形は元に戻すことができる?
自家組織の鼻整形後、元に戻したくなった・別の方法で施術をしたいという場合、再手術は可能なのでしょうか。
プロテーゼと比べると自家組織は直に鼻と定着するので難しいです。
施術後、人によって定着や癒着のスピードは違うので再手術をしたいと思ったら、早めにクリニックに相談しましょう。
自家組織とプロテーゼの違い
鼻を高くする施術で、最もポピュラーなのはプロテーゼの挿入ではないでしょうか。
自家組織を移植する施術と比べて施術時間や切開が少なく、比較的安い価格で受けることができるのが特長です。
では自家組織とプロテーゼは何が違うのでしょうか。
この2つの違いは、「人工物」か「人工物でない」かです。
お話ししてきたように、自家組織は、自分の身体の一部を移植する方法です。
対して、プロテーゼはシリコンでできた人工軟骨を移植します。
人工物でない自家組織のメリットは、なんといっても安全性です。
自家組織の施術は、「異物が鼻にあるのは不安」「プロテーゼだと以前アレルギー反応が出てしまった」など人工物を鼻に入れることに抵抗や不安がある方に向いています。
どちらも施術をすれば効果は半永久的ですが、自家組織は
- 触り心地が自然
- 鼻先の皮膚が薄くなるといった心配がない
- 曲がったり、ズレたりすることがない
などプロテーゼと比べると、自家組織ならではの良さがあります。
2回目の施術を受ける方にも選ばれており、プロテーゼで鼻先が薄くなってしまった場合には真皮や筋膜を軟骨に巻き付けて厚みを出すことも可能です。
【まとめ】自家組織を用いた鼻整形とは
自家組織による鼻整形は安全性の高い施術であることが分かりました。
自家組織の鼻整形は以下のような方に向いています。
- 団子鼻や豚鼻を治したい
- 上向きの鼻を下に向けたい
- 鼻先を高くしたい
- 人工物が鼻にあるのは不安
- プロテーゼだと以前アレルギー反応が出てしまった
また、移植は以下の部分から行われることが多いです。
- 軟骨
- 真皮(肌組織の大部分を占めている部分)
- 筋膜(筋肉を包む膜)
中でも、軟骨の耳介軟骨による施術が自家組織の鼻整形で最もポピュラーな施術です。
自家組織の鼻整形はプロテーゼと比べても、触り心地や曲がるといった心配もほとんどないので安心です。
「鼻をしっかり高くしたいけど、プロテーゼには抵抗がある」「アレルギーの心配のない鼻整形がしたい」という方は、自家組織の鼻整形を検討してみてはいかがでしょうか。